平成13年3月24日15時28分、安芸灘(北緯34度1分、東経132度7分、深さ51km)を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生した。熊野町,大野町,河内町,大崎町で,震度6弱を観測した他,呉市を中心に広島県南部の広い範囲で震度5強から震度5弱の強い地震を観測した。
人的被害は死者1名,重傷者33名で,家屋被害は,全壊40戸,半壊242戸,一部損壊28240戸に達した。公共土木施設関係では593箇所,概算被害額2,774百万円という多大は損失があった。
今回の地震では,民間宅地での擁壁被害が多発したことに特徴があり,特に山腹まで擁壁を積み上げた宅地が発達し震源に近い呉市に被害が集中した。被災戸数では,全壊家屋の87%,35戸が呉市で発生している。
呉市の被害は多大であったものの,通常の災害関連緊急事業の採択基準では対応できない事例が多発したこと,がけ地は狭隘な道路状況から被災家屋等の人力撤去を自費負担することは困難であることなどから,採択基準に特例措置を講じ災害復旧にあたった。
災害関連急傾斜地崩壊対策事業の特例措置の特徴は次の通りである。
(1)適用の範囲の定義:
・急傾斜地(擁壁等これに類するものを含む)
(2)急傾斜地の高さの制限
・急傾斜地の高さが10m以上
・人家等に実際の被害があったものについては5m
・人家等に実際の被害があり,かつ,周辺住民に二次被害を生じるおそれのあるものについては3m以上
(3)移転等により住宅宅地として復旧されない箇所
・崖を被災した所有者が土地を市に寄付
・市が県へ施工申請
・県が災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業(特例)を行う