広島では,ルース台風が九州に上陸したころから,急激に気圧が降下して,防府で台風を観測した14日23時25分に最低気圧966.5mbを記録。風は,14日22時ころから北東から東,南東,南へと順転し,15日0時25分最大風速33.9m/s,0時37分には瞬間最大風速49.0m/sを観測したが,その後急速に弱くなった。
雨も台風の北上に伴って前線が北に移動したため,前期降雨が14日19時台風が九州に上陸する頃まで続き,それ以後は台風自身による降雨となり,広島市では14日23時〜24時の間に今回の1時間最大雨量26.2mmを観測した。山口県境の佐伯,山県両郡では総降雨量250〜300mmと多く,地域的には400mmを超えるところもあった。
台風襲来により広島県下各河川のうち特に太田川,八幡川,木野川など堤防の決壊溢流となり沿岸部は満潮と風波を伴う高潮により被害は一層増大した。なかでも県西部は昭和20年以上の災害を生じ,佐伯1郡だけで17日17時現在死者65名,行方不明29名と県下被災の約60%に及んだ。特に佐伯郡水内村(現湯来町)は39名死亡と突出していた。
「ルース台風の足跡(湯来町農村環境改善センター 編集委員会)」より