昭和63年7月 豪雨 (最大時間雨量57.0mm,死者・行方不明者15人)

概要

気象概況

県内では,20日の午後から局地的に1時間に20mm前後の強い雨が降ったところもあったが,全般的に強い雨が継続して降っていた。しかし,夜になって前線活動が活発となり,急激に発達した雨雲が島根県三隅町付近から県北西部に入り,加計町を中心に雨が強まった。

県北西部の八幡,大朝では20日21時すぎから雨が強まり22時に1時間に30mm以上の雨が降り出した。その後,強い雨域は南下し,加計では23時に1時間に29mmの雨量を記録し,その後5時間の間に1時間20mm以上の強雨が断続的に降った。

総雨量(7月20日 9時~21日9時まで)は,内黒山276mm,加計270mm,八幡245mmとなり,特に内黒山では,21日2時~3時に56mm,加計では,3時~4時に55mmの記録的短時間強雨となった。

特に加計では,21日1時~4時の3時間に131mmの大雨が降るなど,集中豪雨の特徴とも言える短時間に集中した大雨をもたらした。

被害状況

この災害の特徴は,集中豪雨による土石流災害である。

被災地は,広島県北西部の主に加計町,戸河内町,筒賀村の一部に集中した。

この地域一帯の地質は,黒粗粒雲母花崗岩を基盤岩としており,これが風化してできたいわゆる「マサ土」である。水を通しやすくもろいマサ土になりきれない岩が点々と残っており,短時間の豪雨で谷を下る水は,渓床に堆積した土砂とともに渓岸をえぐり,立木をなぎ倒し,砂防ダムを乗り越えて山裾の集落を襲った。このため,民家は,流出し,埋没し,また死傷者25人という大きな被害を被った。さらに,農林業,土木,鉄道等にも大きな被害を受けた。

7月20日~7月21日県下主要地点の雨量は次の通り。
観測所 連続雨量 最大24時間雨量 最大時間雨量
雨量
(mm)
日時 雨量
(mm)
日時 雨量
(mm)
日時
加計
土木事務所
264.0

20日 21日
14時~6時

264.0 20日 21日
14時~14時
57.0 21日 21日
3時~4時
筒賀村
役場
234.5 20日 21日
11時~8時
234.5 20日 21日
11時~11時
54.0 21日 21日
2時~3時
戸河内町
役場
261.0 20日 21日
14時~6時
261.0 20日 21日
14時~14時
50.0 21日 21日
1時~2時
芸北町
役場
140.0 20日 21日
12時~5時
140.0 20日 21日
12時~12時
29.5 21日 21日
0時~1時
千代田町
役場
123.0 20日 21日
14時~6時
123.0 20日 21日
14時~14時
30.0 21日 21日
3時~4時
豊平町
役場
111.5 20日 21日
14時~6時
111.5 20日 21日
14時~14時
43.5 21日 21日
3時~4時

雨量グラフ

過去のおもな降雨との比較

過去のおもな降雨との比較-グラフ

加計町(西調子地区)

加計町(西調子地区)-写真

(広島県警察本部提供)

殿賀駅ホームより江河内方面を望む

殿賀駅ホーム-写真

江河内谷川の両岸を削り取った濁流は,駅ホーム下の土手に突き当たり,大量の土砂が堆積した。しかし,この土手のお陰で下流の住民や加計町立病院は,最小限の被害に救われている。

住宅-写真

  • 関連資料 県北西部豪雨災害(速報版)[昭和63年7月発生](PDF)
  • 関連資料 豪雨災害の記録(昭和63年7月20日~21日)(PDF)
  • 関連資料 昭和63年発生 7.20~21豪雨災害復旧誌(PDF)
  • 関連資料 昭和63年災害 江河内谷川復旧工事パンフレット(PDF)