平成5年7月27日,西日本に上陸した台風5号は,山県郡戸河内町南西部と筒賀村西部にある鍋山を中心に半径5kmの範囲において局地的に1時間47mm,連続雨量236mmの豪雨をもたらした。
この地域では,2年前の平成3年に,広島県における観測史上最大の風速を記録した台風19号により発生した風倒木が山肌を覆っていた。このため,いたるところで山腹が崩壊し,倒木の混在した土石流(流出土砂85,000m3,流木4,000m3)が流下し,戸河内町では,田吹川及びその支川の田地谷川,鍋山谷川,砂ヶ谷川,筒賀村では,大歳谷川,市奥谷川,鷹ノ巣川などで公共施設,人家,耕地などに大きな被害を与えた。
一方で,両町村とも役場,消防団,地域住民の適切な防災活動や避難誘導が行われ,幸いにも人的被害は皆無であった。